家でもできる効果的なトレーニングといえば、日本整形外科学会がロコモ予防として推奨しているロコモーショントレーニングが代表的です。たった3つの運動を継続するだけで健康寿命を伸ばすことができます。
ロコモとは? 運動器とは?
ロコモとは、運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態のことです。
「ロコモティブシンドローム」の略称でロコモと呼んでいます。
運動器とは、人間が動くための体の仕組みを運動器といいます。
具体的に運動器には、骨・関節・筋肉・神経があります。
高齢者が自立した生活ができなくなる原因の24.8%が運動器の障害です。
介護状態でなく、自立した日常生活動作を行える寿命(健康寿命)を伸ばすためには、運動器の障害にならないように鍛えることが大切です。
認知症や脳血管疾患を予防することは難しいことですが、運動器の障害は毎日のケアとトレーニングで比較的簡単に予防することができます。
出典:日本整形外科学会ホームページ
運動器の何が鍛えられるか?
骨は鍛えられる?
運動しないと骨密度が低下して骨が弱くなります。
適度な運動により骨が弱くならないように予防できます。
ただ、予防することと骨を鍛えることは違います。
加齢により骨粗しょう症が進行した状態で運動で骨を鍛えようとすると、むしろ疲労骨折や炎症の原因となります。
関節は鍛えられる?
関節も加齢で弱ってきています。
適度な運動により関節の安定性が高まり痛みが軽減することは良くあります。
関節を動かさないと硬くなり、拘縮痛という痛みが強くなります。
ただ、骨と同様で変形が進行した関節を運動で鍛えようとすると状態を悪化させて痛みで動けなくなることも少なくないです。
関節は鍛えるというより予防として運動を取り入れた方が良いと思います。
筋肉は鍛えられる?
一般的に筋肉も加齢で低下すると言われていますが、それは何も運動しないで歳をとった場合のことです。
寝たきり状態の方がリハビリで歩けるようになって退院することは珍しくないことです。
筋肉は、いくつになっても運動により強くなります。
ただ、加齢の影響を全く受けないわけでなく、若い時より疲労回復に時間がかかる、筋肉が付きづらい、休むとすぐ低下するという特徴はあります。
骨や関節や神経に比べ即効性もあり、栄養と運動を継続すれば3日ほどで動きやすくなるのを感じると思います。
普段、運動をしていない人ほど潜在能力が残っているので運動を始めたことの効果がでやすいので、少しずつ初めてみましょう。
神経は鍛えられる?
神経の機能も加齢により低下します。
神経は運動により鍛えられるか?
神経に対する運動の効果としては、神経・筋の反応が良くなると一般的に言われています。
神経には中枢神経、末梢神経がありますが運動で神経を強くする効果は乏しいと思います。
ただ、運動により神経・筋の伝わりが良くなるので頭でイメージした通りに身体を動かしやすくなります。
結論、筋肉を鍛えるために運動する
結論、運動器を鍛えるメインとなるのは「筋肉」です。
漠然と運動するより、筋肉を鍛えることを意識して運動を行うと効果的です。
たった3つの運動だが、効果絶大!
ロコトレ、「片足バランス」
ロコトレは、この「片足バランス」と「スクワット」の2つの運動です。
片脚立ちは、この運動の目的は片脚でのバランス能力を鍛えることです。
歩くときに、片脚になります。片脚バランスが良くなると歩行能力が高まります。
また、バランス能力が高くなると転倒しなくなります。
注意
・トレーニングのときに、バランスを崩して転倒することがないように、必ず、すぐつかまる物がある所で運動を行いましょう。
・グラグラした状態で片足立ちを続けても効果半減です、できるだけグラグラしないように意識して運動しましょう。また、グラグラしてきたら無理せず休止します。
出典:日本整形外科学会ホームページ
ロコトレ、「スクワット運動」
スクワット運動により下半身の主要な筋肉を鍛えることができます。
初めは机を支えにして膝を90度より曲げないように、軽く曲げたところまでのにします。
膝への負担は90度より曲げて行うと大きくなり、痛みがでやすくなります。
注意
・膝を曲げて痛みがでるときは、深く曲げないようにする。
・軽く曲げても痛みがでるときは、膝を曲げた状態でキープ(静止)する方法(等尺性運動)から運動を行いましょう。
・痛みがでないように行い、太もも、お尻の筋肉を鍛えることを意識して運動しましょう。
出典:日本整形外科学会ホームページ
さらに、「踵上げ運動」も
踵上げ運動は、歩くときに1番大切な筋肉である「ふくらはぎ」の筋肉を鍛える方法です。
この運動はロコトレに入ってないのが不思議なんです。
プラスするならこの運動という感じで紹介されていますが、簡単なのに効果的な運動の代表格なので絶対やった方が良い運動です。
注意
・踵上げしたときにバランスを崩しやすいので椅子や手すりなどにつかまってください。
・回数ではなく、ふくらはぎの筋肉に張りが感じるように運動を行いましょう。
・余裕のある人は、踵が上がったところで少し止めて、ゆっくり下ろしましょう。
出典:日本整形外科学会ホームページ
運動のポイント
- どの運動も初めから全力で行うのではなく、初めの1-2回は軽く20-30%の力で、関節を動かす範囲も狭めで行う。
- 3回ぐらいから少しずつ50-80%の力で、少しずつ関節を動かす範囲も広げて行う。
- 最後の1-2回は軽く20-30%の筋力で行う。
- 痛みを出さないことと、翌日に疲れを残さない程度に行ってください。
- 頻度は毎日行っても悪くはありませんが、運動した筋肉は1日は休ませる方が効果があることが多いです。